スカイツリーを見上げる併用住宅=NARIHIRA RECEPTION=

この投稿は建築家31会のブログリレー「ばとろぐ_2014/03/31」を一部加筆したものです。

今週のばとろぐを担当する石川利治です。今回は2012年3月に行った31人展vol.4でお知り合いになったS様と進めております[NARIHIRA RECEPTION]という案件のご報告を中心に進めて行きたいと思います。1週間、宜しくお願い致します。

すっかり春めいた陽気に、少し心も軽く感じる今日この頃ですが、思い起せばS様とお知り合いになってから、2年が経ちます。ご夫婦でどのように建物を作って行けば良いかをご検討されていた折に、たまたま模型展会場の前を通りかかってお立ち寄り頂き、会場でお声掛けさせて頂いたのが始まりでした。本当に偶然にお知り合いになる事ができ、さらに新築のお手伝いが出来るとは・・・何とも不思議な巡り合わせとご縁を感じます。

案件のイメージなどは以前のばとろぐで少し紹介致しましたが、改めて概要をご案内致します。

所在地:東京都墨田区

構 造:鉄骨造地上6階

用 途:住宅・倉庫・展示室(将来対応)

スカイツリーを見上げる敷地に計画されたショールーム(将来計画)と倉庫を併設する住宅です。家庭的なおもてなしを旨とするS様の企業理念が建物全体にちりばめられています。隅田川花火を正面に望むことのできる屋上は、開放的な接遇の空間になっています。

計画から施工者決定まで、約1年半掛かりましたが、昨年の秋に地鎮祭を取り行う事が出来ました。2014年の隅田川花火にはお引渡が出来る様に、鋭意建設中です。

原風景に想うこと4_千葉県君津市

この投稿は建築家31会のブログリレー「ばとろぐ_2013/08/22」を一部加筆したものです。

人々が集まって住み、人工物を作り、市街化する事は、多かれ少なかれ何かしらの歴史(時間経過の痕跡)が折り重なっている事が想像されます。時間をかけて未開拓の地を開墾し、時代に合わせて築造と解体を繰り返して来たからです。

土木構造物、建造物などが多くひしめき合うに連れ、都市へと変わって行く訳ですが、これらの人工物があまり無い場所は、地形そのものの姿が見えやすい状態にあるといえましょう。

以前に房総半島で計画した住宅K-HOUSE=Spread BELOW=は、映像作家のSOHOでした。小高い丘の頂きに位置する計画地は、すり鉢状に広がる深い緑に覆われた山肌と谷底の池を臨む優れた景観をそなえていました。緩やかな傾斜は東方向の平野に開け、遠くには街並も点在し夜景を彩ります。敷地西側の接続道路の向かいは奇麗に植樹された平坦な果樹園が広がり、アプローチ部分の雰囲気を高めてくれていました。

敷地内には10M前後の高木も茂り、深い緑を形作るとともに、山肌の裾野には竹林が広がり風景にアクセントを与えます。

敷地北側の隣地は低木に覆われ、視界を遮るものがなく雄大な景観を臨む事ができます。接続道路から北東の眼下に広がる風景はアイスポットとなる谷底の池などの特徴的な景観を有し、背景、あるいは借景として建築空間に取り込む事が、今回の計画を行う上でも重要な要素と捉えました。

室内からは、この北東方向の景観を臨む事のできる大きなパノラマウィンドウを設けました。吹抜けに面したこの開口は4M×4Mのサイズになり、建物外観にも印象的な形態をもたらします。接続道路を北側からアプローチして来た時には、深い緑を背景に建物の全容を見る事ができ、その存在感を感じる事ができるでしょう。また、殆どが傾斜地となる今回の敷地は、屋外のまとまった平場がありません。自然に囲まれた生活をする上で、屋外作業を行える場所として、あるいは、来客も含めた充分な広さの駐車スペースとして、そして何より、この景観を満喫する事ができる展望テラスとして、屋上を利用した新たな大地を道路レベルに生み出します。

建物の全体構成は、道路と同じ高さの屋外テラス、駐車場の屋上階レベル、オフィス、カフェ等の土足ゾーンとなる2階レベル、リビング、ダイニング、ベットルーム、水廻り等、生活の中心となる1階レベルの3層になります。敷地の傾斜に沿った形で段状に箱を積み上げる事により、合理的且つ強固な構造体とする事ができます。室内は吹抜けを含んだ一体の空間としてつながっており、通風、換気にも効果的です。各階には小さな段差を絡めながら使う用途による場所性の変化を緩やかに与えます。仕事に関係する来客は2階レベルのカフェを中心に利用します。吹抜けを介して1階のリビングと面する事により、北側の大開口から眼下の池を臨む事が可能です。また東側の大きな壁面はプロジェクターを使った投影を行う事もでき、さながらシアターの様な使い勝手も望めるでしょう。

よりプライベート性の高い寝室、水廻りはカフェの下部へと配置する事により、来客の視線が直接届かない奥まった空間になります。

 

追記2017/05/15:この計画は、コンペ提出案になります。結果は落選だったのですが、提案としてはとても気に入っております。これを実現できる様な機会が訪れると良いのですが・・・。

原風景の想うこと1_赤坂見附

原風景に想うこと2_富山市舟橋

原風景に想うこと3_滋賀県大津市膳所

原風景に想うこと4_千葉県君津市

原風景に想うこと5_港区赤坂高橋是清翁公園

安藤忠雄 建築展 [挑戦-原点から-]

現在進めている千束の住宅コンペが、間口4Mに満たない狭小敷地の計画になります。計画案を詰めてゆく過程で、様々な狭小住宅をひも解いてみたのですが、その中で、やはり安藤忠雄氏の「住吉の長屋」はどうしても避けて通る事のできない重要な指標であります。傑作の誉れ高いこの住宅は、中庭を内包するコンクリート打ち放しの安藤氏の出世作になるのですが、その魅力は今も衰えていません。実は、この原寸模型がギャラリー間で行われている建築展で展示されているとの事で、早速足を運んでみました。
極限まで切り詰められた空間は、確かにコンパクトなのですが、狭く息苦しいという事はなく、逆に全てのものが自分の手が届く範囲にある居心地の良さを感じる事ができました。これは中庭に開いた開口の効果が高く、庭を挟んで対面した居室も一体の空間と感じられ、内部-外部-内部の連続が奥行きとして感じられます。また、それぞれの空間が持つ幅・奥行・高さのプロポーションが非常に練り上げられている様に感じられました。これは体で建物の大きさをイメージしながら作り上げていったと思うのですが、この設計者としての原点ともいえる空間をイメージする事の大切さを改めて感じました。もちろん、雨の日には傘をさして寝室に行かなければならないといった、不自由さ(?)を内包しているのですが、ここに「自然と共に暮らす」といった価値観を見いだしているお施主さんもやはり素晴らしいですね。確実にここだけに存在するはずの空気が流れているのですから・・・。