壁・床に使う素材で鉄骨フレームのコストが変わる_NARIHIRA RECEPTION_140407

鉄骨架構が組み上がるのを追いかける様に、床、壁の施工に入りました。

一般的に鉄骨造の外壁として使われる材料はALC板です。これは、コンクリートの中に空気の小さな粒を混入させてパネルにした物です。特徴としてはコンクリートより軽量なため、外壁の重量を抑える事が出来るので、それを支持する架構の鉄骨量を軽減できる効果があります。但し、コンクリートに比べると撥水能力が落ちる為,何らかの表面仕上を行い、雨水の浸入を防ぐ必要があります。

今回の計画の特徴としては、このALC板を床材としても使用している所です。多くの場合、床はデッキプレートを敷き、その上に鉄筋コンクリートの床を打つという工法になります。ALCの床は最終的には、架構の鉄骨量を抑える事(約5%)ができました。数字としては微々たるものですが、鉄骨だけでも数千万となると・・・・結構なインパクトとなり、最終的な建築コストに対しては結構な減額効果を生みます。

追記170623:最終的にALC板を使用したのは外壁と室内の各フロアの床下地になりました。建物の最上部にあたる屋根部分に関しては、現場で鉄筋コンクリートを打設しました。ALCパネルを使った屋根下地で作る事も可能ですが、パネル間のジョイントがあるという事は、微小ではありますがパネル相互間に動きが生じる可能性が予想されました。それを覆うアスファルト防水層(雨水浸入を抑える最も大切な部位)の劣化や亀裂を生じさせるような「経年変化」による漏水リスクを出来るだけ少なくするため、より密閉度の高い「板」を作れる、現場施工による鉄筋コンクリートを採用しました。当然、その部位に関しては、建物の重量は増すのですが、性能を担保すべき部分にコストを少し振り向けるメリハリの付け方は、とても大切な事と考えております。

基礎工事の工程:鉄筋工事_大津K-HOUSE=in the compound=

今回は基礎工事での重要な工程である鉄筋工事についてです。

遣り方によって定められた建物位置に合わせて、基礎を作ってゆきます。基礎は多くの場合、鉄筋コンクリートで作られます。この鉄筋コンクリートは、単語としてはご存知の方も多いと思います。鉄筋(鉄の棒)とコンクリートを組み合わせて作る材料になります。

少し専門的な話になりますが、なぜ鉄筋とコンクリートを組合せるのでしょうか。これには様々な理由があります。

1.物理的(構造力学上)な理由

2.化学的な理由

3.材料工学的な理由

それぞれを少しばかり掘り下げてみましょう。

1.物理的(構造力学上)な理由

建築は地震や風といった自然の力が加わった場合でも、壊れない様にする必要があります。建物を支える構造物として使う材料は、それらの条件を満たすために効果的に使われる必要があります。外からの力が加わり建物が変形する時に、様々な部位を曲げる力が掛かるのですが、この時に材料には、「圧縮される力(=圧縮力)」と「引っ張られる力(=引張力)」が加わります。この圧縮力に対してコンクリートは有効に働くのですが、引張力に対してはあまり効果的に働きません。鉄はこれとは逆に引張力に有効に働くのですが、圧縮力は苦手としています。この双方の長所を組み合わせて短所を補っているのが鉄筋コンクリートといえます。

2.化学的な理由

鉄は酸化する事で錆びます。錆びる事により材料の強度が落ちて行く事になり、建築を支える構造材料としては、それを防ぐ必要があります。学校で習った化学で酸性とアルカリ性の話があったと思いますが、コンクリートを構成する材料[石灰、石、砂、水]はアルカリ性を示します。この性質を利用して、コンクリートが鉄筋を包み込むことによって、鉄の酸化を防ぐ事ができます。

また、コンクリートは石灰と水が化学反応をおこして硬化してゆきます。固まった後は基本的には水に溶ける事はなく、耐候性が高い材料です。ある程度の水の浸透は考えられるため、鉄筋をくるむコンクリート部分の厚みが重要になり、これを専門用語で「かぶり厚」といいます。このかぶり厚の管理は、鉄筋コンクリート工事の重要な項目とされています。

3.材料工学的な理由

材料は温度の上昇に伴い伸び、下降によって縮みます。地球上の様々な素材が微小な範囲で伸び縮みを繰り返しているのですが、その伸縮の仕方(長さや温度分布、割合など)はそれぞれ異なっています。そんな様々な素材の中でも、とりわけ鉄とコンクリートに関しては熱膨張率がほぼ一致しているのです。これはある意味奇跡でしょう!これを組み合わせようと考えた方の発想がまた素晴らしいです!!

といった具合に、運命的な組合せである鉄とコンクリートを実際の建物では、まず鉄筋を配置します。鉄筋の種類(鉄の種類、直径、形状)、間隔、本数は設計段階で構造計算によって定められているため、現場ではそれが間違い無く配置されているかの確認が必要です。また、先程の「かぶり厚」の管理も重要で、最終的にコンクリートの中に埋まる様に必要箇所にはスペーサーを入れる等、位置調整を行ってゆきます。

スラブ(床の事です)、梁部分では、配筋の仕方も異なるため、その状態を確認し写真に記録してゆきます。

また、建物内部から外に抜けてゆく設備関係に関しても、鉄筋をよける様に配管を設置しておき、コンクリートの打設に備えます。

■大津K-HOUSE=in the Compound= 設計編

00.大津で東京の設計事務所が設計・監理をする-出会う-

01.定年を控えた単身赴任後の家をリフォームするか建替えるか

02.遠隔地で行う家づくり ハウスメーカーと設計事務所の違い

03.近畿地方の家を東京で設計する

04.遠隔地の設計で建設費用を抑える方法1

05.遠隔地の設計で建設費用を抑える方法2

■大津K-HOUSE=in the Compound= 現場監理編

00.地鎮祭_大津K-HOUSE=in the Compound=

01.祠ありきの建物位置:縄張り

02.建物を支える地盤を考える

03.基礎工事の工程:掘削工事

04.基礎工事の工程:鉄筋工事

05.基礎工事の工程:打設工事

近畿地方の家を東京で設計する

この投稿は建築家31会のブログリレー「ばとろぐ_2017/03/23」を一部加筆したものです。

設計に取り掛かるにあたり、お客様のご希望を伺う事は全ての始まりになります。今回ご縁を頂いた大津のお客様は、自由が丘の模型展でお知り合いになった事は既にお伝え致しました。イベントでは数組の建築家が模型と写真を持ち寄って、どのような仕事を行ってきたかのご説明も行っているのですが、この時に持参した「中庭」のある案件の模型にご興味を持って頂いた事が、直接お声掛けを頂くきっかけとなりました。家づくりを行う上でのご要望は、前々回のバトログ「定年を控えた単身赴任後の家をリフォームするか建替えるか」で書かせて頂きましたが、建物計画上の主なご希望は以下のとおりでした。

  1. 建物は木造2階建て
  2. 中庭を取り囲む様に部屋を配置したい
  3. 2階にリビング、キッチン、ダイニング、水廻り、寝室を設ける
  4. 1階に和室、子供部屋、車庫(2台駐車)

特に2階には日常的に使う機能をまとめ、上下移動を少なくしたワンフロアでの生活を望まれていました。これらのご要望を頂くのと併せて、実際に敷地を拝見させて頂く機会を持ち、どのように計画に盛込むかを模索する事になります。敷地周辺のフィールドワークは、2013年のバトログ「原風景に想うこと3」でも書かせて頂きましたので、併せてご覧頂けますと幸いです。

敷地は間口がより奥行が深い町屋独特の地形で、現在のお宅は、前面道路に面して建っており、母屋を挟んだ反対側に庭がありました。この庭部分に新居を計画します。ご要望の2台分の車庫(並列駐車)を道路側に設ける事により、建物の間口方向の幅はある程度、定まって来る事になりました。これに中庭、母屋、さらに奥庭を並べてゆき側面にアプローチの通路で繋げる事で、空間構成も町屋をイメージさせるものとなりました。2階は中庭を囲む様にリビング、ダイニングを配し、来客の見込まれるキッチン周りは、道路側に広めのテラスを設け、2面からの採光が望める明るい空間としました。よりプライベート性の高い寝室と水廻りは奥庭に面しています。

  • 所在地:滋賀県大津市
  • 構 造:木造在来工法地上2階
  • 用 途:専用住宅

■大津K-HOUSE=in the Compound= 設計編

00.大津で東京の設計事務所が設計・監理をする-出会う-

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■大津K-HOUSE=in the Compound= 現場監理編

00.地鎮祭_大津K-HOUSE=in the Compound=

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05.基礎工事の工程:打設工事

定年を控えた単身赴任後の家をリフォームするか建替えるか

この投稿は建築家31会のブログリレー「ばとろぐ_2017/03/21」を一部加筆したものです。

ブログを書いている本日は2017年の3月ですので、お施主様とお会いしてから既に4年近くが経とうとしています。実は紆余曲折がありまして、来週末に地鎮祭を行うという、まさに現在進行形のお宅になります。前回シリーズのバトログでご紹介した[PLUS自由が丘]も「建築家サロンin自由が丘」の会場のご近隣にお住まいになられているお客様からご縁を頂きましたが、今回ご紹介する[K-HOUSE=in the Compound=]も、ご自宅から駅までの通りすがりに、たまたま模型展をご覧になられた事から始まっています。

概ね40年前にご自宅を大津に建てられ、現在は旦那様が単身赴任で東京にお住まいになり、週末に帰省されております。数年後に控えた定年退職と、お二人のお嬢様がご結婚を機にご自宅から出られるなど、生活を取り巻く環境の変化に合わせて、住まい方を見なおすタイミングが訪れていました。お話しを頂いた当初は現在のお住まいにフルリフォームを掛けるか、新たに一戸建てを建てるかで比較検討をされておりました。その中で実現されたいポイントは概ね以下になります。

1. 部屋数や収納量などをこれからの生活スタイルに合わせたい

2. お料理の好きな奥様が快適に使えるキッチンをつくりたい(お料理教室も行いたい)

3. 断熱性能を上げたい

4. 特に玄関を明るくしたい

5. 工事金額は抑えたい

上記のご希望に対して、フルリフォームと新築のメリット・デメリットを比較し、最終的には以下のポイントで新築される事を選択されました。

1. →リビング、ダイニング、キッチンを一体にした、広めの一室をご希望になり、構造フレームの制約のあるリフォームでは理想的な空間を得るのが難しかった。生活を主に2階フロアで完結したいといったご要望もあり水廻りを現在の1階から移動する必要があった。

2. →収納量を増やすと共に、お料理教室での使用を見越した対面式キッチンを計画。7脚の椅子を設けるダイニングテーブルと組み合わせるための間取りを確保する必要があった。

3. →近年の断熱性能基準に合わせるためには、内装を全て剥がし、断熱を強化する必要があり、建物の基本構造から手直しする必要が生じた。

4. →明るさと同時に、玄関の広さを確保する事が望まれた。

5. →上記の内容を加味してリフォームを行うと工事金額が新築とあまり変わらなかった

さらに今回は、敷地にゆとりがあり、建替えではなかった事も新築を選ばれた大きな要素の一つといえるでしょう。工事中も仮住まいを確保する必要も無く、新築部分の引渡しが完了した後に、引越のための梱包なども最小限に抑えながらマイペースで少しずつ家財道具を移し、最終的には現在のお宅を取り壊せば良いといった流れは、毎日の生活に大きな負担が掛からない事も、新築を行う上でのハードルを下げた様に思われます。

建替えを行った場合の進行フロー

■大津K-HOUSE=in the Compound= 設計編

00.大津で東京の設計事務所が設計・監理をする-出会う-

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04.遠隔地の設計で建設費用を抑える方法1

05.遠隔地の設計で建設費用を抑える方法2

■大津K-HOUSE=in the Compound= 現場監理編

00.地鎮祭_大津K-HOUSE=in the Compound=

01.祠ありきの建物位置:縄張り

02.建物を支える地盤を考える

03.基礎工事の工程:掘削工事

04.基礎工事の工程:鉄筋工事

05.基礎工事の工程:打設工事

傾斜地を活かした平屋暮らし2 K-HOUSE=in the Forest=

前回に引続きK-HOUSE=in the Forest=という長野県に建つセカンドハウスです。傾斜地に木造平屋を建てるために、その下のRC造をどのように作ったのかをご説明致しましょう。

コンクリート打設直後の様子 手前が地下室の屋根部分で奥に擁壁裏面が見える この後、型枠脱型後に土を埋め戻す

谷側からの外観で、木造平屋下のコンクリート壁は横長のファサードを構成していますが、壁の裏側は異なった使われ方をしています。

3種類の色分けをしましたが、地下室部分は必要最小限の大きさとし、その他は基本的には基礎と擁壁になります。木造住居部分より左側に伸びている擁壁部分は、平坦な屋外空間を作るための物ですが、それ以外に「土量のバランスを取る」ための壁でもあります。傾斜地に関しては、敷地内の土を何らかの形で掘削したり盛ったりといった、土の移動を伴うケースが多くなります。これは、建物内部で平らな床を作るためにおこる事で、内部の床を傾斜に合わせてなるべく土の移動を少なくする事は、工事コストを削減する上で有効な方法になります。この土を多く掘削し、敷地外に搬出しなければならない場合は、さらに処分費用が掛かる事になります。

建物を連続で輪切りにした断面 図中の紫色が掘削した土で、水色が埋め戻しに利用した土

今回は、この場外処分しなければならない土を最小限に抑えるために、地下室を作るために掘削した土を、擁壁の背後に埋め戻し、建物の基礎部分と平坦な庭部分に利用しました。

傾斜に馴染む様な外部階段も作り、敷地の起伏に寄り添う、地に根ざした外部空間ができたのではないかと思います。

  1. 平屋の魅力を考える
  2. 平屋を手に入れる上で越えなければならないハードル
  3. 平屋を建てるのに必要な土地の広さとは 平屋と土地の関係
  4. 平屋の醍醐味 内部と外部の関わり合い
  5. 内に開く平屋 中庭を持った平屋の場合
  6. 傾斜地でも平屋の暮らしを
  7. 傾斜地を活かした平屋暮らし1 K-HOUSE=in the Forest=
  8. 傾斜地を活かした平屋暮らし2 K-HOUSE=in the Forest=