計画敷地:神奈川県厚木市
用 途:専用住宅 [二世帯]
構造規模:木造軸組構法 地上2階
敷地面積:-
建築面積:172.35m2
延床面積:224.08m2
屈強な覆い=Canopy
山々の緑と平野部に広がる農耕地には自然の風景が多く残され、広大な敷地と相まり建築内外が一体となった良好な計画が望めます。その土地の持つ良好な眺望と高いポテンシャルを最大限に生かした建物及び敷地内の計画案を策定しました。南東に走る線路は、本敷地に様々な特徴を与えています。 敷地東方向は線路と厚木市道の踏切があるため、今後も建物による視線の遮蔽が起こりにくく、遠くへの眺望が確保される事になります。線路面の高さとほぼ揃っている本敷地は、周辺道路から約1m高いことになり眺望、排水に関しての条件も有利になります。 母屋を北側に配置する与条件は、敷地の広さが生かされ、線路からの離隔が大きく取れる等、騒音、振動、視線の遮断に関して、良好な条件と云えるでしょう。
周辺環境との調和として、眺望の確保と同時に鉄道への対応と周辺からの視線に配慮が必要と考えました。生活の中心はリビング+ダイニングと捉えました。家族が集まるこの部屋は建物東側の陽当りの良い芝庭と連続させています。東面は幅6mに渡る大型のガラス開口を設け、芝庭のテラスと一体になった利用を考慮するとともに、東側の良好な眺望を建物の内部に取り込みます。
十分な離隔と植栽による柔らかな遮音壁によって線路の騒音はある程度軽減されますが、建物自体でもこれらへの対策は考慮する必要があります。
今回のご提案では、線路に面する建物南側は音の侵入が大きくなる開口部を可能な限り小さく抑え遮音性能をあげる効果を狙います。ガルバリウム鋼板で覆われた外壁は、耐候性にも優れ、汚れに強く、壁内部では断熱材の充填を十分に行う事により、遮音性能を確保します。また、外部からの視線、防犯にも配慮がなされる事になります。屋根と壁が同材で出来た、全長24mにも及ぶ金属の外観は、さながら覆い(=Canopy)が建物全に被さっているようなインパクトを与える事でしょう。
遮音による開口部の最小化は、採光に関して何らかの対応が必要になります。2階の建物中心部に設けたテラスと隣接したガラスにより上空からの光を効果的に室内へ取り込みます。階段上部の吹き抜けから取り込まれた光は壁面を照らし室内にメリハリを持たせます。リビング南面の壁に細長く設けられた開口は、地下収納天板に落ちた光を天井面に穏やかに反射し室内全体を明るくする効果も期待できます。全方位の設けられた開口は換気性能を高める効果も期待できます。
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