計画敷地:三重県尾鷲市
用 途:資料館
構造規模:木造 地上2階建
敷地面積:32,496.46 ㎡
建築面積:1,200.00 ㎡
延床面積:2,400.00 ㎡
共同設計:保科章建築設計室 木下・萩生田建築設計事務所
佳作入賞
山と海の「門」
尾鷲の文化を育んだ海と山の狭間にあって、山の道(熊野古道)海の道(黒潮)それぞれへの
「門」としての機能を持たせる事を考えました。
来館者はアプローチで大屋根をくぐることで山への接近を意識します。
さらに駐車場から建物入口へ向かい大屋根をくぐると、眼下に静かな内海を望みます。
この大屋根を持った建物の形状はまさに「門」であり地元の人にとっても来訪者にとっても
山と海を強く意識する切っ掛けとなります。
古道が世界遺産に指定された後には世界の人々を歓待する「門」となります。
木造HPシェル構造の可能性
建物全体を覆う大屋根はHP曲面を用いた折板構造とします。
加工性能、変形性能に優れた木材の特性を生かし、ねじれた曲面を形成します。
山・谷にあたる部分にガイドとなる木材を配列し、積層された厚板によって
その木材の間を斜め方向に交差するようにつなぐことでHP曲面を形成します。
これは意匠的な側面だけでなくだけでなく、2列のピン柱で支持する両端跳ね出しスラブの
面外応力分布に合致した構造合理的な曲面構造でもあります。
また、この曲面は面として機能するために任意の箇所に比較的自由に
開口を開けることが可能です脀フラットな屋根面でありながらうねるような曲面状の天井空間を
有し、ランダムにあけられた様々な大きさの孔を通って、
あたかも木漏れ日のような光が内部空間に差し込むことでしょう。
多機能を包含する単一システム
大屋根は木造HPシェルという単一のシステムによって構成されますが、
HP構造面と屋根仕上げの空隙に諸機能を付加することで、屋根直下の用途に対応した
多様な性能を持たせることが出来ます。
HP構造面には自由な配置で孔を開けることが可能であり、必要に応じて
孔の径や密度を調整することで大屋根は単一システムながら多様な表情を見せることになります
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