眼前にひろがる海とすごす

三浦半島の海岸線に沿って走る国道134号線に面する計画地は、緑深く小高い丘を背負い眼前にはなだらかな平地から雄大な海へと風景が繋がる、優れた景観をそなえた土地です。変化に富んだ地形は、道路から海に対峙した時にはなだらかに弧を描きながら海を取り囲む海岸線が感じられます。また視点を地上から10Mほど上部に移せば、背面の丘の緑が作る凸型の斜面により山肌に沿って広がる地形を感じ取れます。海の風景は、長者ヶ崎が近景に遠く富士山を臨む事ができ、夕陽が海に沈む刻々の自然の変化を映し出す広大なパノラマと対峙する事ができるでしょう。

敷地形状から導き出される眺望の向きは、間違い無く海の方向になります。敷地両側の隣地には、今後建物が出来る事から、主たる開口部は海側と背後の山側に設定しました。特に海側の開口は可能な限りの間口と高さを確保し、建物内部からの眺望を確保します。建物全体のイメージとしては、海側に開きその他の面は少し閉じ気味の形態としました。地上レベルでは防犯の意味も兼ねて、出来るだけ開口部を排し、不在時の侵入に対応します。２階から上部は出来るだけ開放感を感じ取れる様にガラス、格子といった透過する素材を組み合わせています。それと同時に全体形状は極力シンプルな形態とし、経年変化が生まれる[枯れる]自然素材を使う事により、素朴さを際立たせる様に考えました。

屋上階部分には潮風を感じられる屋外テラスを設けました。屋根と壁に囲まれたこのテラスは海からの強風を和らげると共に、内部的な外部といった中間領域を生み出す事でしょう。