地下33Mの地層から建物を支持する:杭工事=NARIHIRA RECEPTION=

この投稿は建築家31会のブログリレー「ばとろぐ_2014/04/01」を一部加筆したものです。

今回の計画地である墨田区周辺は、海を埋立てた盛土の上に現在の街並が形成されています。これは、揺れやすさからいいますと、少し条件が厳しい(揺れやすい)範囲に含まれているといえます。建物の設計を行う時に、この土の中の状況がどうなっているかは、大変重要なポイントになります。地上付近は軟弱な地盤に覆われているため、建物を地中の堅い地盤と繋ぐ必要があります。特に今回は地上6階建ての建物になるため、構造種別としては「重量鉄骨」となり中規模以上の計画では建物の重量が大きいため、地盤改良などの方法では対応が難しく、杭によって堅い地盤に建物を緊結する事が求められます。

では、どのように地面の中の様子を確認するのでしょうか?多くの場合、地盤調査を行い、地質がどのような状態かを確認します。試験には幾つか方法がありますが、今回の場合は、周辺の過去のデータから、堅い地盤(支持地盤といいます)が地下30M付近にある事が判っていました。この深さになりますと、試験としては「ボーリング調査」というものになります。今回も工事に先だって敷地の一部をお借りして、調査を行いました。支持地盤は地下33Mの位置にありました。

これを元にパートナーである構造設計事務所が今回の建物に必要な杭の設計を行いました。直径267ミリの鋼管杭が8本、地中に埋め込まれる事になりました。

杭の先端に羽根のついたスクリューパイルが用いられました。これは、杭を回転させる事によって、地中深く掘り進んでゆきます。今回は、地下33Mまで掘り進むのですが、その様な一本の長い杭は無いため,途中で繋ぎながら所定の深さまで掘り進みます。今回は5本の鋼管を溶接で繋いでいます。

支持地盤に到達するまでは杭はスムーズに掘り進んで行きました。支持地盤付近では、明らかに杭が堅いものに突き刺さる振動が伝わってきます。地盤の状態を知る速報値とボーリングデータを比較して、想定した地盤に杭が到達した事を確認できました。

01.スカイツリーを見上げる併用住宅=NARIHIRA RECEPTION=

02.地下33Mの地層から建物を支持する:杭工事

スカイツリーを見上げる併用住宅=NARIHIRA RECEPTION=

この投稿は建築家31会のブログリレー「ばとろぐ_2014/03/31」を一部加筆したものです。

今週のばとろぐを担当する石川利治です。今回は2012年3月に行った31人展vol.4でお知り合いになったS様と進めております[NARIHIRA RECEPTION]という案件のご報告を中心に進めて行きたいと思います。1週間、宜しくお願い致します。

すっかり春めいた陽気に、少し心も軽く感じる今日この頃ですが、思い起せばS様とお知り合いになってから、2年が経ちます。ご夫婦でどのように建物を作って行けば良いかをご検討されていた折に、たまたま模型展会場の前を通りかかってお立ち寄り頂き、会場でお声掛けさせて頂いたのが始まりでした。本当に偶然にお知り合いになる事ができ、さらに新築のお手伝いが出来るとは・・・何とも不思議な巡り合わせとご縁を感じます。

案件のイメージなどは以前のばとろぐで少し紹介致しましたが、改めて概要をご案内致します。

所在地:東京都墨田区

構 造:鉄骨造地上6階

用 途:住宅・倉庫・展示室(将来対応)

スカイツリーを見上げる敷地に計画されたショールーム(将来計画)と倉庫を併設する住宅です。家庭的なおもてなしを旨とするS様の企業理念が建物全体にちりばめられています。隅田川花火を正面に望むことのできる屋上は、開放的な接遇の空間になっています。

計画から施工者決定まで、約1年半掛かりましたが、昨年の秋に地鎮祭を取り行う事が出来ました。2014年の隅田川花火にはお引渡が出来る様に、鋭意建設中です。