東京都

「東砂ロードサイド by アトリエハコ」来訪記

建築家31会のメンバー、アトリエハコ建築設計事務所さんが手掛けられた「東砂ロードサイド」のオープンハウスにお邪魔して来ました。アトリエハコさんはつい先頃、建築家31会にご参加頂く事になり、それを機会にお知り合いになりましたので実作を拝見するのは初めてでした。

敷地は江東区東砂の大きな通りに面したお宅でした。

外観はシンプルな白い矩形に、開口部が大小のバランスを取りながら配置されていました。その建物の前には小振りながら緑をたたえた街路樹が1本寄り添い、木陰が白い壁をスクリーンにした様に落ちているという、大通りで一際目を引く存在感がありました。

黒い扉と黒い枠のガラスが、白い壁を鋭くえぐり取る様な形で入口ができていました。中に入ると、佐野さんが迎い入れて下さりました。道路側の間口12mに対して奥行は3.5mと今までに経験した事のないサイズ感でした。入口正面は黒い壁があり、そこを回り込む様に階段が上階につながっていました。

階段を上がった先は、ダイニングキッチンで、製作物のキッチンが据えられています。レンジフードはカウンター内からせり上がってくる物が組込まれており、ステンレス製のセンターキッチンの存在感を邪魔しません。ひときわ大きなガラスからは、先程外部から見た街路樹が見えます。これはたまたまここに立っていたそうです!また、前面道路の幅員が広く(19m)、開口部も延焼ラインから外れていたため、大きな透明ガラスを入れる事ができたとの事。敷地の良さを最大限に活かした計画となっていました。

ダイニングの上は吹抜けていました。吹抜けの両側にも開口部が設けられており、陽光がたっぷりと注ぎこむ、とても気持ちの良い空間です。

階段側を振り返ると、建物の真中に黒い壁があります。この黒い壁は箱状になっており、建物の外壁の中に、入れ子の様に内包されています。その周りを階段が取り囲み、箱を挟んだ両側がスキップフロアになっている構成でした。階段は、段板だけが壁の間に挟まっており、向こう側が見通せます。

この箱と階段がある事で、奥に何かが続いているといった感覚が生まれ、細長い建物形状の長手の奥行間がより一層、強調されていると感じました。

入れ子の黒い箱は、所々に開口が開けられ、上下階をつなぐ開口や、籠もり部屋(最近よく出会います-笑-)になるなど、空間の繋がりがとても工夫されており、それが広がりと明快さの中に複雑さを加え、建物内部の面白をさらに生んでいました。

七島さんからお伺いしたお話しでは、お施主様は内装業をされている方と云う事でした。お施主様のお仕事の仲間で内装工事が行われ、細かな納まりを相談の上、施工されていったとの事でした。特に巾木納まりは、アルミのアングルがフローリングから10ミリ程浮いた位置で止まっている納まりで、内装工事の難しさが予想されるのですが、大変奇麗に納まっていました。また、内部の壁はPBボードに塗装がなされていたのですが、その仕上がり精度が高く、横方向から壁をなめる様な光にも不陸による影が出ず、平滑に仕上がっている事が判りました。職人さん達の仕事へのこだわりを大いに感じた次第です。

空間のデザインと構造フレームの高い次元での融合と、現場を進めて行く中で思いついたアイデアを柔軟に取り込み咀嚼する「物づくりへの取り組み」など、大変に刺激と勉強になりました。七島さん、佐野さんありがとうございました。

「都市でも気持ちよく住まう家 by有限会社 菰田建築設計事務所」来訪記

建築家31会のメンバー、有限会社 菰田建築設計事務所さんの手掛けられた「都市でも気持ちよく住まう家」のオープンハウスにお邪魔して来ました。

ご夫婦で手掛けられる菰田さんの建築は写真や模型では拝見しており、丁寧な作り込みには感心しておりましたが、実際の建物を体験するのは初めてだったので、期待に胸を踊らせて伺いました。

敷地は三軒茶屋の交差点からほど近い所で、国道246号線沿いのビル群を背景にした細い路地が続く住宅街の中にありました。大通りが直ぐ近くなのですが、通り沿いのビル群が屏風の様に建ち並んでいるおかげで、通りの喧騒はあまり届いてこず、思いがけない程の静けさがありました。

白と自然木を基調とした外観は飾り気を排したシンプルな潔さでまとめられています。外回りをうろうろと拝見していると、菰田さんが玄関先で出迎えてくれました。

路地をくぐる様にして玄関扉を抜けて繋がるシューズクローゼット周りを土足のまま進むと、天井が高くなり、側壁の開口から取られた柔らかい明るさを持った広がりのある土間空間に変化します。この土間が1階を端から端まで貫き、そこに直接面した形で子供部屋がありました。土間と部屋の間には壁や扉が無く、腰掛けの高さに設定された床段差が縁側的なイメージも与えます。まだお子さんが小さいため、あえて間仕切り壁などは設けず、将来的には分割を行なえる様なフレキシブルな平面形状と、設備の増設に対応した仕込みは行われているという、練り上げられた空間でした。小学校に上がる頃には、友達がたくさん集まっても大丈夫であろう広がりのあるワンフロアの遊び場が想像できました。

階段を登った2階はリビング、キッチンがある生活の中心フロアです。

大きく取られた開口から入る光と、間仕切りを極力排した間取りにより、室内の広さが感じられます。登ってきた階段を振り返ると、3階への階段は壁からスチールの支柱で支えられた、軽やかな踏み板が壁から跳ね出しています。部材の細さが軽さをさらに強調しており、上から落ちて来る光と絡み回転しながら上昇感を生んでいました。構造的には階段外周の壁内部に段板の支持部材が埋め込まれ隠さており、壁からは細い部材のみが取り付いており軽やかさが強調されています。菰田さん渾身のディテールでしょう。

内装は白色と木目がバランス良く配され、大きな開口から光の入る明るい生成りの空間でした。

その一角に2畳に満たないひときわコンパクトは暗がりのスペースがありました。これは篭り部屋で、明るさを抑えた小さな空間で、壁に囲まれた床全面に青を基調とした柄のクッションが敷き詰めらていました。

青いクッションと壁の篭り部屋 当初「子守り」部屋と記述しておりましたが、ご本人から「篭り」とのコメント頂きました(!)大変失礼致しました・・・。

これはお客様のアイデアを元に作られたそうで、クッションの柄もご自身で選ばれたそうです。その色柄に呼応する様に壁も青色に塗られた空間は、何とも落ち着ける「囲まれ感」がありました。空間は比較的明るさを考慮する事が多い中、あえて暗がりを作る所に、新鮮さとセンスの良さを感じました。

キッチンの背面に据え付けられた造作家具はオープンな収納になっていました。ここに一つずつお気に入りの食器や小物が並んでゆく事で、さらに素敵な家ができ上がる事が想像できる、住み手に寄り添った素敵なお宅でした。

スカイツリーを見上げる併用住宅=NARIHIRA RECEPTION=

この投稿は建築家31会のブログリレー「ばとろぐ_2014/03/31」を一部加筆したものです。

今週のばとろぐを担当する石川利治です。今回は2012年3月に行った31人展vol.4でお知り合いになったS様と進めております[NARIHIRA RECEPTION]という案件のご報告を中心に進めて行きたいと思います。1週間、宜しくお願い致します。

すっかり春めいた陽気に、少し心も軽く感じる今日この頃ですが、思い起せばS様とお知り合いになってから、2年が経ちます。ご夫婦でどのように建物を作って行けば良いかをご検討されていた折に、たまたま模型展会場の前を通りかかってお立ち寄り頂き、会場でお声掛けさせて頂いたのが始まりでした。本当に偶然にお知り合いになる事ができ、さらに新築のお手伝いが出来るとは・・・何とも不思議な巡り合わせとご縁を感じます。

案件のイメージなどは以前のばとろぐで少し紹介致しましたが、改めて概要をご案内致します。

所在地:東京都墨田区

構 造:鉄骨造地上6階

用 途:住宅・倉庫・展示室(将来対応)

スカイツリーを見上げる敷地に計画されたショールーム(将来計画)と倉庫を併設する住宅です。家庭的なおもてなしを旨とするS様の企業理念が建物全体にちりばめられています。隅田川花火を正面に望むことのできる屋上は、開放的な接遇の空間になっています。

計画から施工者決定まで、約1年半掛かりましたが、昨年の秋に地鎮祭を取り行う事が出来ました。2014年の隅田川花火にはお引渡が出来る様に、鋭意建設中です。

原風景に想うこと5_港区赤坂高橋是清翁公園

この投稿は建築家31会のブログリレー「ばとろぐ_2013/08/23」を一部加筆したものです。

カナダ大使館と草月会館に挟まれた高橋是清翁記念公園は、樹齢50年を越す高木が繁り水の流れもある回遊式庭園で、春先の新緑や秋の紅葉が美しさなど四季折々の表情を見せてくれます。この広々とした公園はかつて、明治から昭和初期にかけて活躍した高橋是清の居住地でした。

穏やかな時間が流れるこの都会のオアシスも、今から約三四半世紀前には大きな事件に見舞われます。青年将校による重臣たちの襲撃、2・26事件です。当時、軍部の政治介入に批判的であった高橋是清蔵相の暗殺により、日本は戦争への道に進む事になります。

戦災による被害で建家は焼失してしまいましたが、それを取り巻く庭園は往時の姿を偲ばせます。現在、庭園の奥まった小高い場所には高橋是清像が設けられています。毎年2月26日にはこの銅像の前に花束が手向けられているのを見掛けます。銅像の視線の先は、かつて母屋があった2階辺りを向いており、自らの終焉の地を眺めている様にも捉えられます。

実は、建家は全て焼失してしまった訳ではありません。1941年に母屋は多摩霊園の休憩所として移築されたため、1945年の東京大空襲の戦災を逃れる事になりました。現在は、小金井公園の江戸東京たてもの園に移築され公開されています。開戦の舞台となった建築が、歴史的事象を織り込みつつ、家主が不在のまま半永久的に生き残る事になるという・・・何とも数奇な運命を感じざるをえません。

原風景の想うこと1_赤坂見附

原風景に想うこと2_富山市舟橋

原風景に想うこと3_滋賀県大津市膳所

原風景に想うこと4_千葉県君津市

原風景に想うこと5_港区赤坂高橋是清翁公園

原風景に想うこと1_赤坂見附

この投稿は建築家31会のブログリレー「ばとろぐ_2013/08/19」を一部加筆したものです。

今週のばとろぐを担当する石川利治です。今回は私が設計に取り掛かる際に必ず想いをめぐらす「原風景」に関して記してゆこうと思います。とりとめも無い話が続くかもしれませんが、一週間、おつき合い頂ければ幸いです。

早速ですが,この「原風景」という言葉は、特に建築専門用語という訳ではありません。いわゆる「風景」という単語よりは、もう少し個人の考え方や感じ方、場合によっては時の流れといったノスタルジーな部分を内包しているのではないかと思っております。空間によって何かしらの感情の機微を伴う現象があるのではないか・・・といったことをイメージし、今回のテーマとさせて頂きました。

仕事柄、都市的な営みには深く関係を持っていると思いますが、特に身の回りの街の歴史に興味を持ち始めたきっかけは、現在の場所(赤坂7丁目)に事務所を構えてからになります。国道246号線の向かいの赤坂御用地はかつての紀州徳川家の領地であったり、神宮外苑は近代では練兵場であったりと、生活圏内の事柄で古地図を開く機会も増えました。江戸時代から現在にかけて、あるものは昔と変わらず、あるものは大きな変化を遂げていたり、その歴史的な背景をひも解く事で、街の違った表情を想像する事が面白く感じられるようになりました。

赤坂近辺はかつての江戸城の外濠にあたり、現在も飯田橋付近から赤坂見附あたりまでは、お濠の様子を留めています。赤坂見附の先に続く溜池には、当時は巨大な貯水池があったということですが、埋め立てられた現在の街の様子からは全く想像がつきません。この外濠から城内に入る門は数カ所ありますが、そこには厳重な監視を行う「見附」が設けられていました。その名残は「赤坂見附」の駅名として現代に引き継がれています。現在、解体工事が進められている赤坂プリンスホテルの南東の角あたりには赤坂御門があったとされ、その石垣の一部が現存しています。明治初期の古写真で、赤坂御門は幅の広い土橋を登りきったところに威厳を持って構えられていた様子が伺えます。土橋は国道246号線となり、上空には首都高速が走り、門(高麗門)は跡形もなく消えてしまいましたが、緩やかに登る坂道と並行に走っていたお濠や石垣の一部は、当時の様子を偲ばせます。当然、街そのもの様子は変わっているのですが、こういった土木的な要素によって構成されたスケール感は今も存続していることが感じ取れます。現在では採掘するのも困難な巨石による石垣等の遺構は、様々な時代を通して刻みこまれた年輪とともにその圧倒的な存在感でそこにありづけるのでしょう

長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース

追記2017/05/12:その後、文中に出て来る赤坂プリンスホテルは「東京ガーデンテラス紀尾井町」として生まれ変わりました。新たに濠の石垣を見るための通路なども整備され、石のディテールも伺えます。ご興味のある方は是非!!

原風景の想うこと1_赤坂見附

原風景に想うこと2_富山市舟橋

原風景に想うこと3_滋賀県大津市膳所

原風景に想うこと4_千葉県君津市

原風景に想うこと5_港区赤坂高橋是清翁公園

090112_高級マンションリフォームの各務君来所

先週、早稲田大学の池原研究室時代のお仲間であるカガミ建築計画の各務謙司君が事務所に来てくれました。よくよく考えてみる、実に10年近く会っていなかった事に気づかされました。彼とは1学年違いで研究室に在籍していました。当時の研究室は、京都駅の建替えを競う指名コンペを行っていた時期にあたり、池原先生の事務所所員の方と大学院生が総動員で寝る間を惜しんで提出に向けて作業を行っていました。このコンペに関しては、現在では想像もつかない様なバブル景気の真っ最中で、研究室での作業も去ることながら、打ち上げでも今では考えられない様なものすごい盛り上がりを見せたのを思い出します。おかしな時代ではありましたが、ある意味、不安の無い良い時であったと思い出します。
彼とはそのような馬鹿騒ぎもしましたが、当然、研究室内での葛藤もあった訳で、今となっては様々な事柄が懐かしい思い出話となっています。この10年のブランクの間、お互いに色々と辿ってきた道のりが違うだけに、興味深い話を伺う事ができました。特に各務君は独立して10年近くになるため、事務所経営に関しては大先輩にあたる訳で、非常に参考になるお話をたくさん拝聴する事ができました。このような仲間がいてくれる事は非常に心強い事でありますし、大変刺激にもなりますし、何よりもとても幸せな事だと改めて感じた次第です。各務君、これからも宜しくお願いします。今度はそちらの事務所にお邪魔させて頂きますので。

追記170621:各務君はこの頃(かれこれ10年前)からリフォームの仕事を積極的に行っていました。今でこそリフォームは新築に肩を並べる程、世の中に広まっておりますが、当時はそこまで一般的では無かったので、とても先見の明があったのだと改めて感じます。特に高級マンションリフォームに関しては、国内では第1人者でありますし、今までの実績をまとめた個人名を冠した書籍が書店に並ぶ等、その活躍ぶりには目を見張る物がありますし大変刺激になります。私も頑張らねば・・・・。

NCUさんの新事務所にお邪魔して来ました

仕事でお世話になっている構造設計事務所NCUさんの新オフィスに初めてお邪魔しました。今年の7月に自由が丘に移転されており、メールでのお祝い連絡はさせていただいていたものの、早くお伺いしたいと思っているうちに秋になってしまいました。
取締役の長瀬さんと初めてお会いしたのは、SONY CITY新築工事の仕事でした。

品川港南口のSONY CITY


2004年頃だったと思うので、かれこれ5年近いお付合いになります。この現場は、とても大型の物件であったので、仕事量とそれをこなすためのスピード感がかなりハードであったのですが、苦楽をともにした中で長瀬さんのお人柄と仕事ぶりに触れ、勝手ながら大きな信頼を寄せさせて頂いており、それ以降、今日に到るまで、懇意にさせて頂いているといったところです。2005年に以前の職場で一緒だった植畑さん (代表取締役) と近藤さん (取締役) と3人で、それぞれの頭文字をとったNCU一級建築士事務所を設立された。現在は総勢8名でお仕事をされていると云うことで、大変なご活躍ぶりです。
おしゃれな街並みの1階に構えていると云うことで、ガラス張りの玄関から中を覗く方が多いと噂に聞いていました。たまたま土地勘のある場所であったこともあり、迷わず到着することができました。
モノトーンを基調にした内部は大変スタイリッシュで、ショップに見間違うような格好良さでした。たしかにこれは通りがかりに中を覗きたくなる。とても良いオフィスです。
インテリアの様子も判ったので、お祝いに鉢植えなどを送る事にしました。最近、通勤途中に気になるグリーンショップができたので、そこで物色してみようと思います。
追記 2017/04/18:その後,NCUさんはさらにお仕事を順調に進められており、現在は人数も10名を越えております。2008年当時の事務所から、同じく自由が丘のテナントビルの2階に移転されました。こちらも素敵な内装で、構造事務所のイメージを凌駕しております(笑)。

舟越桂 夏の邸宅 アールデコ空間と彫刻

東京都庭園美術館での展覧会の最終日(〜2008年9月23日)が間近に迫っていたため、足をのばす事にしました。涼しげなひとかたの中に存在感と強さを持つ、氏の初期の作品を思い浮かべ、ともすれば主張のあるアール・デコの室内空間の意匠に、彫刻が埋もれてしまうのではないかとの期待と不安とを持ちながら、その対峙に接しました。

館内に足を踏み入れた瞬間に、そんな思いは杞憂に終わりました。作品の存在感は圧倒的なのでした。最初に迎え入れてくれる彫刻は、ひとかたをしているもののそれはすでに人間ではなく、両性具有の存在が静かに宙に浮いていました。もともと邸宅であった建物は、天井の高いゆとりをもった空間に、客間、寝室、浴室といった部屋毎に様々な素材を生かした鮮やかな意匠を持ち、当時の財力と職人の技を垣間見せています。現代では異次元空間といえるでしょう。その昭和初期に建てられた建物と共に、あたかも止まった時間の中で遠くを見続けているようにそこに佇んでいるのです。その大きさといい、目線の高さといい、遠くを見据える穏やかな表情にこの館の住人ではないかと錯覚しそうになりました。それぞれの部屋の仕上げと呼応するかの様な古色調に仕上げられた彫刻の差し色の取り合わせも美しく、意匠と衣装をコーディネートしている様な印象を受けます。館内を移動し様々な部屋を巡りながら扉枠を抜ける度に彫刻の配置と光量をコントロールした絶妙なライティングが展開してゆき立体的な箱絵を眺めているかのようでした。ドローイングの世界観と新たに生み出された展示空間に、高い次元でのインスタレーションを感じます。

撮影:今井智己


・・・できれば、入場者の少ない時に訪れたかった。
余韻もさめやらぬまま、美術館を後にし、通りに出た所で、一緒にお仕事をさせて頂いている内原デザイン事務所の目黒さん(弊社がプロジェクト参加しているSONY CITYのライティングを担当されています)と偶然に出会いました。よくよくお話を伺っていると、今回の展示の照明デザインをされたとの事でありました。(なるほど・・)と妙に合点がいき、改めてプロの仕事の完成度の高さを反芻するのであります。